『自分のため』の創作ノート

創作を「はじめる」「つづける」ことについて考えていくブログ

『自分のため』に情報を取捨選択する 感想や数値に関わるコツ

小説を公開したあとは

あなたの小説は、無事に公開されたでしょうか。
書きあげた小説を公開すると、とてもドキドキしますよね。
テンションがあがることもあれば、不安になってしまうこともあります。


自分がつくりあげた成果が、どんな形であれ世に出たわけです。
いつもとは違う気分になるのも当然でしょう。


しかし、小説を投稿して終わりではありません。
ひと息ついたら、つぎの物語を書きはじめましょう
投稿した小説の続編でもいいですし、まったくべつの物語を書きはじめるのも楽しいです。
すぐに原稿に着手できないのなら、また『キーワードプロット』をつくるのもいいでしょう。


とにかく小説を書くための行動を、1日10分だけでもしていきます。
投稿してからも、日々の行動を途切れさせない
習慣は、毎日つづけるからこそ威力を発揮するのです。


反響が気になって「書く」行動に集中できなくなったら

「でも、投稿した小説の評価が気になって、ついついサイトにアクセスしちゃう」
「感想がきた。うれしいものもあるけど、キツイのもあるから、つぎの話をどうするか迷うなあ……」


小説を公表すると、思わぬ反響があってドキドキしたり。
逆に、特別なことが起こらなくてガッカリしたり。
どちらにしろ、気になって気になって「書く」行動に集中ができなくなってしまう場合があります。


どんなときも『第一の読者』が優先。
つねに、作者である自分が絶対の基準
すべては『自分のため』に書いたもの。自分に “やさしく” を合言葉に、情報の取捨選択をしていけばいいだけ。


そうとわかっていても、うまく動揺をおさめられないのなら、あたらしい『自分のための基準』をつくっていきます。
編集エリア『自分のための基準』編集用の基準だとするなら、こんどは評価用の基準です。


ここからは、投稿したあとに抱きやすい代表的な3つの不安。
その不安に対処するための『基準』と、その元となる考え方を紹介していきます。


代表的な不安1 評価がつかない

「せっかく投稿したのに、まったく評価がつかない」
「評価どころか、ぜんぜん見てもらえていない……」


 
創作系のSNSで、こんなぼやきがよく流れています。
長い時間をかけて世に出した小説に、望んだような評価がつかない。
いくら『第一の読者』のために書いた小説だとしても、たったのひとつも反応がないと、思わずこんなことを考えてしまう人も、なかにはいるのではないでしょうか。


「おもしろくなかったのかな」
「公開した時間が悪かったんだろうか。それとも、サイトにエラーが起きたんだろうか」
「……おかしい。いったい、なにが悪かったんだろう?」


じっさいにエラーが起きていたら、タイミングが悪かったねで済みます。
おもしろさが足りない場合も、もちろんあるでしょう。
しかしながらほとんどの場合は、なにかが悪いわけでも異変が起きたわけでもなく、ただ単に見られていないだけです。


Web上には、たくさんのサイトが存在しています。
外国の調査会社が発表したところによれば、その数は10億を超えるそうです。
あなたがアクセスしているこのページも、その10億分の1。そのさらに奥の奥に存在しています。
商用であっても個人であっても。
またどのようなジャンルであろうとも、Webサイトというものは基本的に見られないもの……いえ、見つけてもらえないものといったほうが正しいかもしれません。
なにしろ、世界には10億を超すWebサイトが存在するのですから。ユーザーが見つけるのも一苦労です。


もちろん、すでにたくさんのアクティブユーザーを抱えているサイトはあります。
「小説家になろう」などの投稿サイトもそのひとつです。
しかし、そういったサイトでも評価はつきづらいのです。


その理由を語るまえに、すこし質問があります。
あなたはいままで、どのようなページを閲覧してきましたか?
SNSやブログ。調べものをしたときの辞書サイト。もはや辞書のように扱われているWikipedia
あなたはいままで、さまざまなページにアクセスしてきたはずです。
アクセスしたすべてのページに、欠かすことなく評価を入れてきましたか?
「助かりました」「参考になりました」と、コメントを残してきたでしょうか?


「あー、言葉が浮かばない。検索してみようかな。○○、類語……。あったあった、これでいいや」
となって、すかさずページを閉じているのではないでしょうか。


このエッセイでは、繰り返し行動を途切れさせないというフレーズを強調してきました。
行動を途切れされたら続かない。
このことは、なにも習慣化だけにかぎらないのです。


たとえば、あなたの投稿した小説まで読者がやってきて、最初から読みはじめたとします。
この時点で、読者の最重要行動「小説を読み終える」ことになりますね。
もくもくと読んでいって、一区切りまで到達した読者は、どういう行動をとると思いますか?


「あー、おもしろかった」


と、ページを閉じる。
なにかを検索したときのあなたと、まったくおなじ行動を取ります。
そう、これが一般的な流れなのです。
なにしろ、読者にとって一番重要な「小説を読み終える」行動を達成していますからね。
それ以降に必要な行動は、せいぜいページを閉じるくらいなものです。


ふつうは評価がつかない。
この流れは、小説サイトだけでなく、SNSでもブログでも全部そうです。


「でも、たくさんの評価やコメントをもらっている人だっているよ!」


そうですね。たしかにいます。
あなたが、よく読む小説の作家さん。その人の評価や感想が、あんなにもにぎわっているのはどうしてなのか?
小説がおもしろい。
もちろんそれもあるでしょう。
しかし、評価を受けていなくてもおもしろい小説だって存在します。


――いったい、なにが違うのか?
その理由は、端的にいうと見つけてもらえたからです。
さらにいうなら、評価をつけたり、コメントをつけたり、口コミをしたりするのが好きな読者に、小説を見つけてもらえたからです。


アクティブに評価をする読者、口コミを発生させる読者に見つけてもらう。
これが、評価されるかどうかの一番の分かれ目
個人も企業も、どのようなジャンルのサイトでも、評価をしてくれる人たちに見つけてもらうまでが、ものすごく大変なんです。


「では、どうしたら評価してくれる人たちに見つけてもらえるのか?」
「たとえば、読者のひとりひとりに宣伝文を送るとか……」

 これは現実的ではないうえ、完全にスパム行為なのでしてはいけません。


「たくさんの人に送るのがダメなら、数を絞ればどうだろう?」
「その場合、アクティブな読者のなかでも特に影響力のあるひと――インフルエンサーに読んで評価をしてもらえたら、それこそ最高じゃないか!」

たったひとりにメッセージを送るなら、スパム行為とはならないかもしれません。
しかしながら、筆者が見たかぎり、小説投稿サイトにおける絶対的なインフルエンサーはいません。


現状、評価に直結するような宣伝方法はないように思います。
個人でできることは、不特定多数に向けてTwitterで更新報告するくらいです。
たとえ宣伝を行ったとしても、アクティブユーザーやインフルエンサーの行動を、あなたが制御できるわけではありません
小説を読んでもらうのも評価されるのも、運まかせに近い状態となるでしょう。


……となると、やるべきことは明白ですね。
それはコツコツと小説を書き、投稿をつづけて、評価してくれる読者がたずねてくる機会を増やすことです。



小説を書きつづけましょう。
そして、公開しつづけましょう。

反応がない、評価されないのが当たり前です。評価0が一般的なのです。
評価がついていないから、小説を書いても意味がない……なんてことにはなりません。


ほかの誰かと比較することで評価が気になっているようなら、小説を公開したのをきっかけに『無意味なハードル』『レベルに合っていない高いハードル』が出現していないか、頭のなかをチェックしてみてください。
そして初心者のうちは、『第一の読者』のために書くという基本姿勢に戻ってください。
書くことが当たり前。
書かないでいると気持ち悪い。
そう思えるようになるまでは、まだまだ初心者です。
初心者のうちこそ、初心をなによりもだいじにし。『第一の読者』のために、小説を書き続けていきましょう。


代表的な不安2 「小説に対する要望がくる」

評価や感想は、つかないのが当たり前。
しかしある日、ついにあなたの小説に評価が入り、感想がつくという幸運が発生しました。
感動しますよね。
感想は、あなたの小説に『第一の読者』以外の読者がいるという明確な証拠です。
うれしいに決まっています。


ぽつりぽつりと書かれている感想。
そのなかに「おや?」と引っかかるものがあります。
どうやら小説に対する要望です。感想のなかには、ときにこういうものが入ってきたりします。


「こういう敵と戦ってほしい」
「主人公は、この女の子とくっつけてほしい」
「好きな登場人物だから、この人は絶対に死なせないで」


その読者の望むことが書かれているため、内容は千差万別です。


「読者の要望を聞いたほうがいいだろうか? そうしたらもっと評価が上がるかもしれないぞ」
要望を聞いてはいけない――とは言いません。
読者の要望を聞くかどうかは、作者であるあなたが決めることです。
ただそれでも、考え方の元となる『基準』が欲しいというなら、この条件を確認してみてください。

  • 読者の意見が、『第一の読者』の好みにも、『編集用の基準』にも合っていること。
  • なおかつ、絶対に『2つのハードル』へと変化しないこと。


まず理解しておいて欲しいのは、要望を送ってきた読者が、インフルエンサーである確証がないということです。
インフルエンサーかもしれない。インフルエンサーではないかもしれない。
要望を聞いたとしても、評価があがる可能性、あがらない可能性は五分五分です。


要望を叶えれば、その読者の満足は得られるでしょう。
しかし、ほかの読者の満足が得られるかについては不明です。
さらに注意して欲しいのは、要望自体がその読者の「いま」の望みであるということ。


あなたは、体調や気分、成長などの変化によって、好きなものが好きでなくなったり。嫌いだったものが好きになったりした経験はありませんか?
人は変わっていくものです。
もちろん、好みだって変化していきます。
読者からの要望。それはいまの読者の好みを反映したものであると理解しておきましょう。
要望に対応したときには、すでに好みが変化してしまっている可能性だって十分にあります。


読者の好みにかぎらず、エンターテイメントには絶対的な指標など存在しません
好き、おもしろいという曖昧な感覚は、時代やとりまく環境によって、あっさり変化してしまいます。


仕事。とくに受注案件となれば、クライアントの意見が優先されることが多いでしょう。
しかし、仕事でないのなら、自分の好みや意見を最優先にするべきです。
誰の好みに合わせても、将来的に変化してしまう可能性がふくまれています。
それならば、作者であるあなたの「いま」の好みに合わせて小説を書いていくのが一番でしょう。


あなたが書いた小説は、作者であるあなたのものです。
そのことと、さきほどあげた条件を念頭において。読者の要望を受け入れるかどうか、慎重に判断してください。


代表的な不安3 「荒らし目的の感想がつく」

一般的に「荒らし」と呼ばれる迷惑行為
悪口、誹謗中傷、人格否定が、運悪く感想につけられることがあります。


ネット上で広く行われているこの迷惑行為は、対処法も同じように拡散されていますので、見聞きしたことがあるかもしれません。

  • かまわないでムシする。
  • ほかのユーザーにも、反応しないよう呼びかける。
  • 繰り返されるなら、サイト運営者に報告して、ブロックなどの処置をしてもらう。


つまりは迷惑行為をしている相手に対し、特別なリアクションを取らず。運営者に連絡して、適切な対処を求める。
これが、定番の対処法となります。


いわれのない中傷を受ければ、カチンときて当然です。
「そんなことない!」と反論したくなる気持ちもわかります。
しかし、ここはガマンして無反応に徹しましょう


「荒らし」に対しては極力反応せず、相手の感想やコメントは全部ムシする。
それが最善です。
しかしなぜ、このような対処法が最善とされているのでしょう?


この件については、ストロークが深く関わっていると考えられます。
ストロークとは、心理学用語のひとつです。
人が相手に与えたり、与えられたりする認識、注意、反応を指し。性質として、プラスのものとマイナスのものが存在します。
詳しく知りたい人には、心理学の書籍などを読んで欲しいのですが、筆者はこのストローク(相手からの反応)を、精神的なご褒美であると解釈しています。
簡単にいうと「かまってもらえている感」ですかね。


相手に対し「ありがとう」とか「大好き」と伝える。
ほめる、なでる、抱きしめるなどはプラスのストロークです。


逆に「嫌い」「ムカつく」と伝える。
怒る、叱る、叩くなどはマイナスのストロークです。


そしてストロークについて書かれている書籍には、おなじような解説が載っています。
ストロークは、もらえないよりも、もらえるほうがいい。それがたとえマイナスのストロークであっても。
誰にもかまってもらえずムシされるよりも、怒られたり、叱られたりしたほうがマシである。
どうやら人には、そのような性質があるそうです。


人はストロークが不足すると、プラス、マイナスを問わずに欲しがるようになります。
そして、人がそれを得ようと思ったとき、手に入りやすいストロークは、どちらかというとマイナスの方なのです。
おそらく、人をよろこばせるより、不快にさせる方が簡単なためでしょう。
この関係は「さみしさのあまり、親の注意を引くためにイタズラをして、叱られようとする子供」を想像するとわかりやすいですね。
親をよろこばせようとすれば努力が必要ですが、怒らせるならそんなものは必要ありません。


ネット上で「荒らし」をする人というのは、このストローク不足である可能性が高いと考えられています。
ストローク不足の相手にとっては、口撃や反論もうれしいご褒美です。
反応がもらえる相手だと認識されたら、ストロークを求めて、何度も何度も「荒らし」を行うことでしょう。


そのため、「荒らし」が出現したときは、グッとガマンして無反応に徹しましょう
謝罪も反論もしません。
ほかの読者が反応してしまっている場合は、一度だけ反応をしないようアナウンスをして、その後は沈黙を守ってください。
もしくは、ほかの読者の反応も含めてムシしてください。
(最初から、読者の目に入るところに、「荒らし」に反応しないようにと記載しておくのも対処のひとつです)


感想を削除をするかどうかは個人的な好みではありますが、削除すること自体が反応のひとつと受け取られる可能性もあります。
可能なら「荒らし」行為の証拠として保存し、運営者に掲示して判断をあおぐことをオススメします。
そのとき、活動報告やTwitterなどで、「運営に報告した」と書く必要はありません。
相手を気にするような言動。存在を認知している素振りは、絶対に表に出してはいけないのです。



無反応は、安定した次善策です。
しかし、ひとつだけ覚えていて欲しい事柄があります。
それは、消去バーストです。


消去バーストは、行動分析学の用語です。
特定の行動が消去される前に、回数が増えたり、激化するなどして行動が悪化する状態をいいます。
(これも詳しくは書籍などを読んでください。けっこうおもしろいです)


「荒らし」をムシすることで、行動の消去をねらうと、一時的に「荒らし」行為が悪化する場合があります。
悪化したときに、そのままムシを継続すれば、「荒らし」行為が減少していきます。
しかし、消去バーストの期間中に反応をしてしまうと、「荒らし」行為が継続してしまいます。


どんなに激しい「荒らし」行為であったとしても。
反応しないことで「荒らし」が悪化したとしても、相手には反応を見せることなく、粛々と運営者、管理者に報告しましょう。
被害が拡大し、心身や財産の危機におよぶような言動が出てきたら、警察や弁護士、未成年であれば保護者に相談しましょう。
身近な家族や友人にグチを聞いてもらったり、日記などに殴り書きをしてこらえて。ネット上では、徹底的に無反応をつらぬいてください。


また「荒らし」が行われている期間中。どうしてもつらくて苦しいのなら「見ない」という行動も必要になってきます。
ついつい荒らされている具合を確認してしまう。
そんなときは、「見る」までに起こっている準備行動を確認してください。
そして「見ない」ようにするために、こんどはあえてハードルを設置したり。準備行動を増やすなどして、自分の邪魔をしてみましょう。



小説を公開したあとに、もしもなやむときが来たら、このページを読み返してください。
ここに掲載されている『基準』は、あくまで筆者の考えが反映されたものですが、なんらかの助けとなるでしょう。
もちろん、あなたの考えに合わせて『基準』を変更したり、追加したりしてかまいません。


ただ、どのような感想や数値に接するときも『自分のため』に情報を取り入れ、ときに排除していくよう心がけてください。
『自分のため』になるかどうか。
「小説を書きたいと願う自分」にとって、助けになるかどうか。
それが『基準』をつくるときの、なによりだいじな判断材料です。

まとめ

・小説を書きつづけていくために『評価版の基準』を持ち、執筆に専念できるようにする。

評価がつかない……評価は0が一般的。誰かと比べることで『2つのハードル』が出現していないか確認し。『第一の読者』のために書くという基本姿勢に戻る。

読者から要望がきた……読者の意見が『第一の読者』の好みにも『編集用の基準』にも合っていること。なおかつ、絶対に『2つのハードル』へと変化しないことを条件に、慎重に判断する。

「荒らし」目的の感想がついた……「荒らし」ストロークを与えてはいけないため、徹底的に無反応をつらぬき、運営者に報告して判断をあおぐ。消去バーストに注意。

※この項目では「荒らし」を取り上げているため、「荒らし」を呼び込む可能性があります。
このエッセイの感想やコメントに「荒らし」が出現したら、せっかくなのでムシをする練習をしてください。自分の作品の「荒らし」より、他人の作品の「荒らし」のほうが、ムシしやすいと思います。


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