キーワードからプロットをつくる? 『キーワードプロット』のススメ
30分でプロットを作る?
休憩は終わりましたか?
ここからは、すこし集中してやっていきます。
たくさんの紙と書きやすいペン、タイマー(アプリも可)、そして30分くらいの空き時間を作ってください。
紙は、A4くらいのサイズがいいでしょう。
たくさん使いますので10枚~20枚は用意してください。
ペンは書きやすいものなら、どんなものでもかまいません。筆者は、基本的に黒のサインペンを使っています。
小説のイメージを固めたら、つぎは「物語の骨格」を作っていきます。
いわゆるプロットと呼ばれているものです。
プロットという言葉は、聞いたことがありますね。
これからあなたが書く小説のプロットを、用意した紙とペンを使って、30分で書き出していきたいと思います。
「ええっ、いきなり言われても困るよ」
「まだ登場人物も考えていないのに」
「物語がどうなるか、さっぱり想像できていないから……」
大丈夫。
最初は誰だって、物語を想像しきれていません。
むしろ、なにも固まっていないときこそ、この方法が役立つのです。
『キーワードプロット』をつくろう
いまから『キーワードプロット』というものを書いていきます。
これは、筆者の造語です。
偉そうに言いましたが、なんのことはありません。
ただキーワードを書き出して、この30分でプロットらしきものを作ってみようという話です。
「キーワードがプロットになるわけない!」
「そんな短時間で作れるものか!」
「作ってもムダになる。作りたくない!」
そう考えてしまった場合、頭のなかに『2つのハードル』があらわれています。
深呼吸をして、考え直してみてください。
『キーワードプロット』を作りたくないと考えているのは、知っている “常識” と違うための反発ではありませんか?
どこかで仕入れたプロットのイメージと離れている。
もしくは、こんな方法でちゃんとしたプロットはつくれないと思っているのなら、ハードルを下げてみましょう。
この30分で、完璧なプロットをつくれ。
大手出版社の編集者が、GOを出すプロットをつくれ、とは言っていません。
つくるのはプロットらしきものです。
どうしてもプロットと認められない場合は、 “らしきもの” を強調して口に出してください。
また、創作には努力や苦労がつきもの……と思い込んではいませんか?
頭に汗をかき。それこそ血を吐くような思いでプロットを作るべきだと思っているなら、いままでに得た「作家」のイメージに引きずられています。
しんどい体験をすれば、かならず成果が出るというわけではありません。
こういうイメージを抱いているなら、すぐに頭のなかから排除してください。
もしアイデアが思い浮かばなかったら、やるだけ時間のムダと考えてはいないでしょうか?
ムダは、さっきも出てきましたね。
この国ではもったいない精神が行き渡っているせいか、どのエリアでもムダという概念が浮かんできます。
たしかに、ムダはない方がいいでしょう。
でも、これが練習なら?
練習と変えるだけで、やった方がいいように思えてきますね。
思い出してください。いまからあなたが書く小説は、作品ではなく習作です。
『キーワードプロット』で、非の打ち所がない物語を完成させろとはいっていません。
物語のはじまりと終わりまでが、なんとなくイメージできるレベルで十分です。
『キーワードプロット』をつくると物語の姿がうかぶ
筆者の場合、第一作目の『キーワードプロット』をつくる前は、この程度のことしか頭に浮かんでいませんでした。
- 西洋風ファンタジー。
- 主人公は女の子。
- 魔法っぽいのが使えたらいいな。
- 魔導士だとありきたりだから、一文字変えて真導士ってことにしよう。
- 絶対にハッピーエンドがいい。
- どこかで恋愛させたいな……、だったらヒーローも真導士にしておくか。ほかの属性をつくるの大変だし。
この状態から『キーワードプロット』を書き出し。
そのあとに、ストーリーラインとして書き直したら、こんな風になりました。
――主人公は、十五歳の女の子。
ひっこみ思案で人見知りで、全体的に印象の薄いおとなしい娘。
じつは、ちょっとワケあり。
国民から『真導士』を選ぶ風習をもつ国に住んでいる。
『真導士』は、白く光る真術を扱うことができる。
数が少なく、存在自体がとてもめずらしい。儀式に参加して『真導士』として選ばれた女の子は、『真導士』の証である真眼(第三の目)を開くことになる。
でも、真力が低くて「落ちこぼれ」と言われてしまう。
師匠の言いつけにより、『真導士』の本拠地である「真導士の里」をめざす。その道中に、ヒーローと出会う。
おとなしい主人公とは真逆の、非常に印象の強い男。
ふたりで協力しながら「真導士の里」をめざすが、途中で悪者に襲われる。
『真導士』になりたてのふたりは、まだ真術が使えない。
真術を使って襲いかかってくる悪者から、手に手を取り合って逃げる。
しかし、どうにもならないピンチにおちいる。
その時、主人公が青く光り、謎の力を使ってピンチを乗り切る――。
おもしろいかどうかは別として、物語として成立しているように思えますね。
まずは、この物語として成立しているように思える段階をめざします。
いまはとにかく「書く」「つくる」という行動を起こしてください。
どんな分野の初心者も、圧倒的に行動が不足しているから初心者のままなのです。
ここからは、なによりも行動を重視していってください。
『キーワードプロット』のルールを知って、さっそく書いてみよう
それでは、『キーワードプロット』をつくっていきます。
あたらしい紙を広げ、ペンを持ってください。
そしてこの紙に、思いつくかぎりのキーワードを書き出していきます。
書き出すときのルールは、3つだけです。
- 頭に浮かんでいるイメージや言葉を、とにかく書き出す。
- タイマーが鳴るまで、手を休めずに書きつづける。
- 書き出したものは、絶対に消さない。
制限時間は10分です。
頭にあるものを、からっぽにするつもりで書いてください。
時系列は、いっさい関係ありません。
字は汚くても大丈夫。
誤字脱字、漢字、ひらがな、なんでもあり。
表記上の統一性がなくても、あとで自分が読めさえすればOKです。
“一区切り” におさまらない要素(続編、後日譚)でも、その物語に関わるものであれば全部書いてください。
おなじキーワードが、何回出てきてもかまいません。
なにも書かないより、おなじキーワードであっても、制限時間まで書きつづける方を選んでください。
なやまずに、休まずに書きつづけてください。
正確性や多様性よりも、スピード感をたいせつにしていきます。
1枚で足りなければ、あたらしい紙を追加しましょう。
準備はいいですね?
それでは、はじめてください――。
……書けましたか?
お疲れさまでした。
とりあえず、ひと息つきましょう。
書き足りていない場合は、さらに書きつづけてみてください。
ただし、書き終えたら5分くらいは休憩してくださいね。
たいした動作はしていなくても、頭はそれなりに疲れています。
お茶を飲んでもいいし、お菓子を食べてもいいです。
休憩しながら、書き出したキーワードをゆっくりと眺めてみましょう。
そのキーワードは、あなたがこれから書く小説の断片です。
頭に浮かんでいた事柄もありますが、こうやって眺めるのは初めてですよね。
すごく新鮮に感じるかもしれません。
ひととおり眺め終わったら、キーワードをジャンルごとに分類してから、一本のストーリーラインとなるよう、つなげていってみましょう。
この作業は、30分の枠におさめなくてOKです。
文章にするのがむずかしいなら、時系列順に箇条書きしていってもかまいません。
――お疲れさまでした!
これで「物語の骨格」ができあがりましたね。
なにも持たなかったときから比べると大進歩です。
「物語の骨格」ができあがったら、つぎからはいよいよ執筆作業に入っていきます。
まとめ
『キーワードプロット』書き出しのルール。
・頭に浮かんでいるイメージや言葉を、とにかく書き出す。
・タイマーが鳴るまで、手を休めずに書きつづける。
・書き出したものは絶対に消さない。
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